森を見て木も見る歯科医療

2023.05.22

たるんだ体を引き締めるためにジムに通い始め現在8キロのダイエットに成功しています。

副院長の嶋田です。

 

ここ最近、いくつか研修会に参加してきました。

①MTAセメントという材料についての講演会と

②歯周組織の回復・造成についての勉強会に参加してきました。

1本の歯を長期的に維持していく為にはどのような治療が必要なのか、

また失われた組織をどのように回復させ機能・審美を向上させていくのかを学んできました。

拙い症例を交えながらまとめます。

 

 

・MTAセメントは優れた性質を持っている反面、

理解して使用しないとその特性を最大限引き出す事ができません。

今回は開発された先生から直接お話を聞く事ができ理解が深まりました。

 

日本での使用認可は限定されている為、

MTAセメントを用いた適応外での治療を検討される場合は

しっかりと担当医と話し合った上で治療を受けてください。

 

 

虫歯が大きく神経まで到達しています。

 

通常では神経を取るような処置になる症例ですが、

MTAセメントを用いて封鎖し、

しっかりと修復することで残せています。

1年半経過していますが経過良好です。

 

・歯の中を問題無く治せたとしても、

虫歯により歯の多くが失われると被せ物を入れられない状態になってしまいます。

歯肉の中から十分な量の歯を引っ張り上げ、

歯肉の形態を外科処置によって整えています。

長期にわたり機能的・審美的に維持していく事が可能となりました。

 

 

・次に歯周病が進行する事で組織が失われると

基本的な歯周治療では治癒に導けなくなります。

そのため条件が合えば失われた組織を回復させるため歯周組織再生療法を行います。

手技としてはとても難しい上に患者様の協力が不可欠になります。

歯周病が進行して骨の喪失が進んだ症例です。

歯周組織再生療法を行い失った骨が再生しています。

3年経過していますが特に異常はありません。

 

 

・また歯肉が下がると見た目が悪くなるだけではなく

知覚過敏や虫歯にもなりやすくなります。

歯肉が下がり審美的な問題だけでなく磨きにくい状態でもありましたが、

歯肉を移植する事で改善出来ています。

 

 

 

・そして硬い歯肉が失われる事でも磨きにくくなり

長期的に維持する事は難しくなります。

硬い歯肉が無いため磨きにくい状態ですが移植する事で

磨きやすくなり長期的な維持が期待出来ます。

 

 

・いよいよ歯の保存が出来なくなり

抜歯をすると時間と共に大幅に組織は失われます。

骨が無くなるとインプラント埋入がとても難しくなります。

この状態ではインプラントを理想的なポジションに埋入する事はできません。

十分な骨を作る処置を行う事で適切な位置に埋入する事が可能になりました。

しっかりとした咬み合わせを作る事が出来ます。

 

 

上記の術式をより深く学んできました。

今までの自分の考えや手技を見直す事ができとても勉強になりました。

また講師の先生方から熱い言葉も頂きました。

状態の悪い歯、インプラントを維持していく為には

その1本だけを診ていても達成できません。

周りにある組織(骨や歯茎)や咬み合わせを含め全体を見なければなりません。

 

森も木も見なければ良好な結果が得られない歯科治療ですが、

日々の研鑽をいつまでも続けていきたいと思います。